理化学研究所のホームページより |
以前から、腸内細菌が作る酪酸が免疫細胞に作用して、制御性T細胞という炎症やアレルギーを抑えるT細胞を増やすことが言われていました。特に、クローン病や潰瘍性大腸炎など腸疾患の発症に関係するという考えがあります。
また、腸内細菌叢は糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム、動脈硬化症などのさまざまな疾病の発症に関係すると考えられています。
2型糖尿病は、遺伝因子と環境因子とが関係して発症すると考えられていますが、近年は腸内細菌のバランスの乱れが何らかの影響を与えている可能性も指摘されています。 不健康な食生活や運動不足、ストレスやなどの生活環境や加齢が腸内細菌環境を乱します。肉やタンパク質を食べ過ぎない、食物繊維をたくさん摂取する、ヨーグルトなどの発酵食品を多く食べることが重要です。
さて、今回、第87回 日本内分泌学会(福岡、2014年4月24日~26日)に参加して、理化学研究所 統合生命医科学研究センター 粘膜システム研究グループ所属の大野博司先生の講演を聞くことができました。
未成熟なT細胞を過剰な免疫反応を抑制する制御性T細胞へ分化することが大事で、それには腸内細菌が産生する酪酸が大事であること。酪酸は口から摂取しても無駄で、ラットには注射や座薬などで投与しているとのことでした。遺伝子の話がたくさんでてきてわかりやすく解説するのは難しいですが、要するに腸内細菌を増やすことが大事とのことでした。フロアから「善玉腸内細菌を増やすにはヨーグルトをとればよいですか」との質問がありました。答えは、「ヨーグルトにもいろいろな種類があり、有効性が違う。人によっても違うとのことでした。科学的ではないが、自分にあうヨーグルトを見つけるまでいろいろ試して自分の便を確認することが大事」とのことでした。
まあ、食物繊維の多い和食をしっかり食べて、ヨーグルトもしっかり食べて、善玉腸内細菌を増やすことが、糖尿病の発症抑制にもアレルギーや免疫疾患の発症予防に大事ということですね。