2014年4月29日火曜日

糖尿病と腸内細菌

理化学研究所のホームページより
ヒトの大腸内には、およそ100兆個、500~1,000種類もの常在腸内細菌が生息しています。

以前から、腸内細菌が作る酪酸が免疫細胞に作用して、制御性T細胞という炎症やアレルギーを抑えるT細胞を増やすことが言われていました。特に、クローン病や潰瘍性大腸炎など腸疾患の発症に関係するという考えがあります。

また、腸内細菌叢は糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム、動脈硬化症などのさまざまな疾病の発症に関係すると考えられています。

2型糖尿病は、遺伝因子と環境因子とが関係して発症すると考えられていますが、近年は腸内細菌のバランスの乱れが何らかの影響を与えている可能性も指摘されています。 不健康な食生活や運動不足、ストレスやなどの生活環境や加齢が腸内細菌環境を乱します。肉やタンパク質を食べ過ぎない、食物繊維をたくさん摂取する、ヨーグルトなどの発酵食品を多く食べることが重要です。

 さて、今回、第87回 日本内分泌学会(福岡、2014年4月24日~26日)に参加して、理化学研究所 統合生命医科学研究センター 粘膜システム研究グループ所属の大野博司先生の講演を聞くことができました。
未成熟なT細胞を過剰な免疫反応を抑制する制御性T細胞へ分化することが大事で、それには腸内細菌が産生する酪酸が大事であること。酪酸は口から摂取しても無駄で、ラットには注射や座薬などで投与しているとのことでした。遺伝子の話がたくさんでてきてわかりやすく解説するのは難しいですが、要するに腸内細菌を増やすことが大事とのことでした。フロアから「善玉腸内細菌を増やすにはヨーグルトをとればよいですか」との質問がありました。答えは、「ヨーグルトにもいろいろな種類があり、有効性が違う。人によっても違うとのことでした。科学的ではないが、自分にあうヨーグルトを見つけるまでいろいろ試して自分の便を確認することが大事」とのことでした。
まあ、食物繊維の多い和食をしっかり食べて、ヨーグルトもしっかり食べて、善玉腸内細菌を増やすことが、糖尿病の発症抑制にもアレルギーや免疫疾患の発症予防に大事ということですね。

2013年2月26日火曜日

食事療法(外食)

ハンバーガーは高カロリーです。

トマトチキンフィレオ 437 kcal
ポテトM                    420 kcal
コーラM                     127 kcal

合計 984 kcalと高カロリーです。


サイドメニューを変えると

トマトチキンフィレオ  437 kcal
サラダ・ドレッシング  106 kcal
ウーロン茶              0 kcal

合計543 kcalとなります。

近くのうどん屋さんのメニューです。

天ぷらセット

ご飯、うどん(天かす、ねぎ)、天ぷら(エビ2尾、れんこん、イカ、かぼちゃ、ピーマン これで300kcal)、茶わん蒸し、漬物がついて、合計は約1000kcalです。

鍋焼きうどん

うどんの中に、鶏肉、えび天ぷら1尾、水菜、ねぎ、しめじ、かまぼこが入っていて、合計は約450 kcalです。




和食はヘルシーですね。外食のことも栄養士によく聞いて下さい。

2013年2月24日日曜日

食事療法(グライセミックインデックス)

同じ炭水化物でも血糖の上がりやすい食物と上がりにくい食物があります。
GI(グライセミックインデックス)値が高い食物は血糖値が上昇しやすいです。

でも、私たちは単品で食べるわけではありません。
脂質を多く含む食品を摂ると、血糖値の上昇に長時間要し、血糖上昇が遅延します。
ですから、ご飯と副食を一緒に食べると血糖値の上昇は少なくなります。
また、ご飯の前に野菜を先に食べると、食物繊維のために血糖値は上昇しにくくなります。

食事療法(カーボカウント)

カーボ(炭水化物)カウント法には「基礎カーボカウント」と「応用カーボカウント」があります。

「基礎カーボカウント」
1日に摂取する炭水化物量を一定にして、各食事での摂取炭水化物を決め、血糖コントロールを行う方法です。
対象患者さんは、2型糖尿病患者(経口血糖降下剤使用患者)、妊娠糖尿病、インスリン2回注射法の1型糖尿病患者などです。

「応用カーボカウント」
食事中の炭水化物量に合わせてインスリン量を調整する方法です。
対象患者さんは、1日に3-4回インスリン注射を使用している1型糖尿病患者さん( 2型糖尿病患者でも可)。インスリンポンプを使用している1型糖尿病患者です。

炭水化物の量だけに気を付けて蛋白質や脂質をたくさん食べては、糖尿病のコントロールは良くなったが心筋梗塞になったり、腎不全になったりして意味がありません。医師や栄養士に相談して下さい。


蛋白質と思っている食べ物にも炭水化物が入っています。

たとえば、餃子やハンバーグ、鳥の唐揚げを食べても血糖は上がります。
下の餃子の具には炭水化物はほとんどありませんが、皮に炭水化物が含まれています。
ハンバーグにもパン粉や牛乳などの炭水化物が含まれています。
鳥の唐揚げには衣やタレに炭水化物が含まれます。ちなみに、焼き鳥には炭水化物は含まれていません。





 
 

 
 
 

食事療法(1)

全国どこの病院でも「食品交換表」を使って指導しています。高血圧や


脂質異常症などの栄養指導でも利用できる大変利用しやすい指導教
です。
必要な栄養成分を、主食、主菜(肉、魚、大豆食品)、副菜(野菜、
きのこ、海藻など)をバランスよくとってもらうための教材です。
 
欠点もあります。
外食時や結婚式、飲み会などの時には対処が困難です。料理の素材が大事なので料理を作る人には有効ですが、食事を作らない男性は主食のご飯や食パンや果物は計算できてもおかずの調整は困難です。奥さんなど料理を作ってくださる方の協力が必要です。

         
患者さんには3日間の食事内容を記載して頂き、管理栄養士がカロリー量やバランスなどを計算して、悪い点があれば一緒にどうしたらいいのか考えます。
食事記載が面倒な人には携帯電話などで食事を撮影してきて頂いて、それを見ての指導もします。
広島から携帯電話でお好み焼きを撮影してきて、「どれくらいカロリーあるの。
全部食べたら、インスリン量はどうしたらいいですか」と聞いてきた患者さんも
おられます。
最近のコンビニ弁当などは、カロリーや栄養素成分の量が記載してありますから、それを見て上手に食べるコツを栄養士より教えていただきます。

さて、炭水化物、脂質、蛋白質がエネルギーを持つ三大栄養素ですが、食後の血糖値を上げる栄養素は炭水化物です。高エネルギー食が高血糖食と同じではありません。
蛋白質だけを食べても血糖値は上昇しませんが、体重は増加して糖尿病を悪くします。腎臓の悪い人は高蛋白食は腎機能を悪化させます。やはり、バランスが大事ですね。


これを利用したのが、カーボカウント法です。カーボ(炭水化物)量を計算して、血糖をコントロールする方法です。また、グライセミックインデックスも大事です。

2013年2月21日木曜日

糖尿病治療の基本は食事療法(序文)

糖尿病の基本はやはり食事療法です。

はやく、山中教授らの研究が発展して膵臓が再生できるようになればいいのですが。

食事療法について、特に最近流行の「低炭水化物食」についてやカーボカウントについては次回書きます。
たまにジムに行って、自転車こぎやランニングを30分間して汗だくだくになってから、マシーンの消費カロリーをみると80kcal、バナナ1本分のイラストを見るとがっくりきます。
運動は糖尿病には効果はありますが、やせるのは無理ですね。

 運動療法でのHbA1cの低下は約0.5%(0.38~0.97%)ぐらいです。詳細は後日書きます。

食事が一番、そして運動と必要なら薬物療法ですね。

左は当院に展示してある脂肪1kg(7000キロカロリー)の標本です。
皆さん、その大きさと重さに「これがお腹についているのか」と感慨深い様子です。
その下にそれを消費するための運動量が示してあります。
脂肪1kgを燃やすのには、ジョギング22時間と表示してありますから、「やっぱり、運動でやせるのは無理だから、饅頭や缶コーヒー
を減らすしかないな」と言われます。そもそも、糖尿病の運動療法
は減量目的ではなく、インスリンがよく効くような体質に変えるためのものです。

食事療法は食事制限食ではありませんので、一緒に勉強しましょう。